キムワイプの用途は「実験」だけじゃない!エアブラシ塗装でティッシュを絶対に使ってはいけない3つの理由

トラブルシューティング

エアブラシの調子が悪い…塗料が出てこない…。

きれいに塗れたと思ったのにプツプツと表面にゴミが付いててがっかり。

こんにちは、エムです。

模型製作の現場、特にエアブラシ塗装において、このトラブルの原因の多くが「間違った清掃用具」にあることをご存知でしょうか。

理系学生や研究者にとっては「実験器具の清掃」としておなじみの緑と白の箱、「キムワイプ」。

実はこれ、我々モデラーにとっても「神器」の一つです。今回は、なぜプロモデラーが高級なティッシュ(に見えるもの)を使い続けるのか、その決定的な理由と具体的なリスク管理を解説します。

 

1. キムワイプの本来の用途と「ティッシュ」との決定的な違い

日本製紙クレシア キムワイプ製品情報より

そもそもキムワイプとは何か。日本製紙クレシアが製造する産業用ワイパーです。
主な用途は「実験器具・部品・機器類の拭き取り」。つまり、「汚れを落とすこと」「ホコリを出さない」に特化しており、「優しさ」は排除されています。

ティッシュペーパーを使ってはいけない理由

普段使っているティッシュペーパーには、柔軟性を持たせるための繊維や油分が含まれており、何より「千切れると大量の毛羽(ケバ)、粉塵が出る」という特徴があります。

この「目に見えない微細な毛羽」こそが、精密機械であるエアブラシの天敵です。

【警告】負のループ
ティッシュでカップを拭く ➡ 微細なホコリがノズル内部に残る ➡ 塗料と混ざって固まる ➡ 「塗料が出ない、塗料に混じって塗膜に付く」

もし今、エアブラシ塗装トラブルに悩んでいるなら、ハンドピースの故障を疑う前に、清掃用具を見直すべきかもしれません。

2. 模型製作におけるキムワイプの具体的な「3つの用途」

では、具体的にどの場面でキムワイプを使うべきか。プロの現場での「用途」は主に以下の3点です。

用途①:塗料カップの洗浄・拭き取り

うがい洗浄をした後、カップに残った溶剤を拭き取る際に使います。
キムワイプはパルプ100%で繊維が長く、ガサガサとした手触り(クレープ加工)が特徴です。この凹凸が、カップの壁面に残った塗料をこそぎ落としてくれます。

用途②:ニードルのメンテナンス

エアブラシの命とも言える「ニードル」。メンテナンス時にここを拭く際、ティッシュを使うと繊維や粉塵が付いてしまい、そのままノズル内に持ち込んでしまうが可能性が高いです。
キムワイプなら繊維を残さず、古いグリスや塗料をきれいに拭き取れます。

用途③:調色スティックや筆の拭き取り

塗料を希釈する際、調色スティックを何度も拭くことになります。ここでティッシュを使うと、次に塗料瓶にスティックを入れた際、瓶の中にゴミ(紙粉)を混入させることになります。
「塗装面に謎のゴミが付着する」という現象の犯人は、実はあなたの使っているティッシュかもしれません。

3. 「高いから使わない」は本当にお得なのか?

「でも、ティッシュより高いですよね?」

確かに単価で見れば高いです。しかし、コストパフォーマンスの観点ではキムワイプが圧勝します。

  • 耐久性が高い:溶剤を含ませてもボロボロになりにくく、1枚でしっかり拭き取れる。
  • リスク回避:塗装のやり直し(リカバリー)にかかる時間、塗料代、精神的ダメージを考えれば、数円の投資は安すぎます。

1箱買えば、週末モデラーなら数ヶ月は持ちます。「失敗しないための保険料」と考えれば、これほど安いものはありません。

4. まとめ:キムワイプは「消耗品」ではなく「工具」である

キムワイプの用途について解説してきましたが、結論として言いたいのは「キムワイプを単なる紙だと思うな」ということです。
それはニッパーやヤスリと同じく、作品のクオリティを左右する重要な「工具」です。

エアブラシを導入し、これから本格的に塗装を楽しみたいと考えているなら、コンプレッサーやハンドピースと同じタイミングで、必ずキムワイプもカートに入れてください。
その小さな緑の箱が、あなたの塗装ライフから「詰まり」や「謎のゴミ」というストレスを消し去ってくれるはずです。

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