エアブラシ塗装をしていると、こんな悩みにぶつかることはありませんか?
「せっかく綺麗に塗れたのに、関節を動かしたら塗膜が剥がれた…。」
「仕上げのグラデーション塗装中にエアブラシが詰まってプツプツ汚れた。」
「もっとガッチリとパーツに食いつく、強い塗膜を作りたい!」
そんなモデラーの救世主となるのが、ガイアノーツから発売されている「プロユースシンナー」です。「プロユース」という名前にハードルの高さを感じている方も多いかもしれませんが、その性質を正しく理解すれば頼りになる存在です。
今回は、私がメイン溶剤として愛用しているプロユースシンナーの「本当の凄さ」と、絶対に知っておくべき「2つの致命的な罠」について解説していきます。
プロユースシンナーとは?最強のエアブラシ詰まり対策の味方
プロユースシンナーを一言で表すなら、「通常のうすめ液に、ツールクリーナーを少し混ぜたような溶剤」です。
実はこのプロユースシンナーが発売される前、ツールクリーナーがメジャーになった頃には、うすめ液にツールクリーナーを10%ほど添加した強めのうすめ液を日常使いするプロモデラーが多くいました。私も昔その情報をキャッチし、真似をして使っていました。それが既製品として販売されたのがこの製品です。
通常のラッカーうすめ液よりも溶剤成分が強めに調整されており、圧倒的な「溶解力」を持っています。成分が強いということは、エアブラシのカップでダマになりにくく詰まりにくくなる、プラスチックの表面をほんの僅かに溶かしながら塗料が乾いていくため、定着力が増すということです。
この「ツールクリーナー手前」とも言える絶妙なチューニングが、モデラーにとって最強の武器になります。
プロユースシンナーを使う2つのメリット
私が普段の塗装でプロユースシンナーをメインで使用しているのには、明確な理由があります。
1. 圧倒的な「食いつき」で関節の剥がれを防止
最大のメリットは、塗料のパーツへの「食いつき(密着性)」が劇的に向上することです。
先述の通り、強い溶剤成分がパーツの表面を微細に侵すため、塗膜がただ乗っかっているだけでなく、しっかりとパーツに噛み付きます。ガンプラの関節部や、擦れやすい可動パーツの塗装において、この耐摩耗性の高さは圧倒的なアドバンテージです。
2. 塗料の溶けが良く、なめらかな塗膜を実現
通常のうすめ液よりも溶解力があるため、塗料そのものの溶けが非常に良くなります。顔料やメタリック粒子が溶剤の中で綺麗に分散するため、先述の通りエアブラシのカップでダマになりにくく、吹き付けた際のムラが減り非常に滑らかで均一な塗膜を作り出すことが可能です。
【警告】プロユースシンナーに潜む「2つの致命的罠」と注意点
ここからが本題です。「食いつきが良くて綺麗に塗れるなら、全部これでいいじゃないか」と思うかもしれませんが、溶解力が強いがゆえの諸刃の剣でもあります。以下の2点だけは絶対に気をつけてください。
罠1:重ね塗りの「一気吹き」で下地が溶け出す
プロユースシンナーで希釈した塗料を、すでに塗装が終わっている下地の上から「ドバッ」と一気に吹き付けると、その強烈な溶解力で下地の塗膜まで溶かし出してしまいます。
結果、色が混ざって滲んだり、表面がシワシワになったりする大惨事に。重ね塗り(オーバーコート)をする際は、遠目から砂吹き(ドライコート)をして薄い膜を作り、徐々に馴染ませていく慎重なコントロールが要求されます。
罠2:クリアパーツへの使用は絶対NG!樹脂が溶けて白濁する
これが最も悲惨な失敗です。
カメラアイやキャノピーなどのクリアパーツにプロユースシンナーを使用すると、樹脂の表面が溶けてすりガラスのように白濁してしまいます。一度白濁するとリカバリーは極めて困難です。
クリアパーツの塗装には、必ず「通常のうすめ液(またはマイルドな溶剤)」で塗装することは絶対条件として気をつけたいポイントです。
まとめ:プロユースシンナーを飼い慣らし、ワンランク上の塗装へ
プロユースシンナーの特徴をまとめます。
- 正体:うすめ液にツールクリーナーを少し混ぜたような、高溶解力の強溶剤。
- メリット:塗料の溶けが良く、パーツへの食いつき・耐摩耗性が最強クラス。メイン溶剤として超オススメ。
- 注意点1:重ね塗りで一気に吹き付けると、下地を溶かす危険がある。
- 注意点2:クリアパーツに使うと白濁するため、クリアパーツには通常のうすめ液を使用すること(絶対条件)。
「強い力には代償が伴う」という、まさに中二心をくすぐる溶剤ですが、特性を理解して適材適所で使い分ければ、あなたの作品の完成度と耐久性を一段階も二段階も引き上げてくれます。ぜひ、恐れずに挑戦してみてください。





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