エアブラシ塗装をしていて、乾燥後に「あれ? 色が濃いところと薄いところがある…」と絶望した経験はありませんか?
せっかく丁寧にヤスリがけをして表面処理を終わらせたのに、最後の塗装でムラになってしまうとパーツと一緒に心まで折れそうになりますよね。「またヤスリで削って一からやり直しか…」と、ため息をつく方も多いと思います。
この記事では「正しい吹き方のメカニズム」と「プロのリカバリー術」を解説していきます。
この記事を読むことで
- ムラになる根本原因がわかり、次から「失敗ゼロ」の均一な塗装ができるようになる
- 万が一ムラになっても、ヤスリで削らずにエアブラシだけでリカバリーできる時短テクニックが身につく
- ムラを「失敗」ではなく、作品の「リアルな味」として活かすワンランク上の表現力が手に入る
今日からすぐ試せるよう分かりやすく解説していきます。塗装の苦手意識を捨て、エアブラシ本来の楽しさを取り戻しましょう!
なぜエアブラシ塗装で「ムラ」は起きるのか?根本原因を解明
まずは敵を知ることから始めましょう。塗料の希釈率が正しいにもかかわらずムラができる場合、その原因は「吹き方」と「対象物へのアプローチ」に潜んでいます。
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原因は「一部分だけ」を濃く塗ってしまうこと
最も多い失敗が、パーツの「一部分だけ」に執着して塗料を乗せすぎてしまうことです。「早く色を発色させたい」という焦りから、同じ場所に長くエアブラシを当ててしまうと、そこだけ塗膜が厚くなり、周囲との色の差(=ムラ)が生まれてしまいます。特に隠蔽力の低い赤や黄色などの塗装では、この現象が顕著に表れます。
面積に対して「細吹き」でアプローチする罠
大きな面積のパーツ(車のボディや飛行機の主翼など)に対して、ニードルを少ししか引かない「細吹き」または細い口径のハンドピースでチマチマと塗っていくのも、ムラの大きな原因です。細吹きは文字通り線を描くように塗料が乗るため、広い面を埋めようとすると必ず塗り重なる部分とそうでない部分ができ、ストライプ状のムラが発生してしまいます。
失敗しない!ムラを防ぐエアブラシの基本ステップ
ムラを防ぐための大原則は「焦らないこと」と「全体を俯瞰すること」です。以下のステップを意識するだけで、仕上がりは劇的に変わります。
※機材の適正な空気圧や距離感といった基礎知識については、タミヤ公式のエアーブラシシステム関連情報も非常に参考になります。基礎を固めた上で以下のテクニックを実践してみてください。
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全体に薄くフィルターをかけるように色を乗せる
最初から完璧な発色を目指してはいけません。まずはパーツ全体に、ごく薄く色づく程度の「フィルター」をかけるイメージで吹き付けます。1層目は「色がうっすら乗ったかな?」程度で十分です。そこから2層、3層と、少しずつ全体の色を濃くしていくのが、ムラのない均一な塗膜を作る絶対法則です。
部分的に濃くなった場合の回避術
もし塗り重ねている途中で「あ、ここだけ少し色が濃くなってしまったな」と気づいたら、すぐにその部分を避けてください。濃くなった部分に合わせようと躍起になるのではなく、それ以外の薄い部分を少しずつ塗り重ねて、全体のトーンを濃い部分のレベルまで引き上げていくのが正解です。
【逆転の発想】ムラが「最高の味」になる例外パターン
さて、ここからがモデリングの奥深いところです。「ムラ=悪」というのは、カーモデルやキャラクターモデルにおける常識に過ぎません。ジャンルによっては、そのムラが作品の「命」になることがあります。
艦船模型やAFVにおける「意図的なムラ」の魅力
戦車などのAFV(装甲戦闘車両)や艦船模型において、実物は決して均一な色をしていません。太陽の紫外線による退色、潮風による塩害、泥や雨水による汚れなど、装甲表面は常に過酷な環境に晒され、強烈な「色ムラ」を起こしています。つまり、塗装ムラは使い方次第で、スケールモデルにおける「最高のリアルな味」に昇華するのです。
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雨水の流れを意識した細吹きテクニック
このムラを「味」にするコツは、あえて細吹きを活用することです。例えば艦船模型の船体側面であれば、雨水が上から下へと流れ落ちる方向に沿って、細吹きで直線を何本も引くイメージで塗っていきます。最初は不自然に見えても、色が重なってくると、それがリアルな雨だれや退色表現(カラーモジュレーションの一種)となり、のっぺりとした単色塗装では絶対に得られない重厚感が生まれます。
出来てしまった塗装ムラを完璧に直すリカバリー術
「味」が許されない綺麗なツヤあり塗装(グロス仕上げ)などでムラを作ってしまった場合、ヤスリで全て削り落とす前に、以下の「魔法のリカバリー術」を試してください。
「細吹き」ではなく「太く吹く」で広範囲をカバー
ムラを直そうとして、色が薄い部分だけをピンポイントで「細吹き」で狙い撃ちするのは最悪の悪手です。境界線がさらに目立ち、状況は悪化します。ムラを直す時は、逆にニードルを大きく引き、塗料の吐出量を増やして「太く吹く」のが鉄則です。
対象物から距離を離し、色が薄い部分を狙い撃つ
太く吹く設定にしたら、エアブラシとパーツの距離を普段よりも離します(フワッとミストを乗せるイメージ)。その状態で、色が薄いと感じるエリアの「中心」を目掛けて、広い範囲に塗料の霧を被せるように吹き付けます。
距離を離すことで塗膜の境界がボケるため、濃い部分との境界線が自然に馴染んでいきます。この条件で少しずつ薄い部分の色味を補っていくことで、面倒なヤスリがけをすることなく、エアブラシの操作だけでムラを帳消しにすることが可能です。

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